電波7

「言いたいことがあるならはっきり言ったらどうだ、大佐?」
憮然とした表情で少女は言う、笑顔の一つでも見せれば可愛らしいと形容できるであろうソレも今は険の立った随分と酷い表情になっていた
この少女がここまで感情を表す相手をヴィヴリオは一人しか知らない
「ふふふ。いやいやなかなか面白いものを見せてもらったさ」
「フン、そういう風に仕向けたのは君だろう?」
「君たち二人のお陰で周囲の者はストレスが溜まりすぎている、それをどうにかするのも基地の責任者たる務めだろう?」
「それならむしろ逆じゃないのか?私とあいつを会わせないように、さ」
「ふふん、相変わらず素直じゃない奴だな君も……君自身が望んでいないことをさも望んでいるかのように言うなよ」
この少女ととある機械化兵はよく喧嘩をする、むろん多種多様な人間のいるこの瑞穂基地では喧嘩など頻繁というほどではないにせよ日常の1シーンにしかすぎない
が、見かけは若くとも天使の血を引き半世紀以上のときを過ごした二人の喧嘩である
その雰囲気だけでベテラン兵や完機といえど気圧されて身動き出来なくなるほどだ
「……どうせ止めろと言っても無駄なんだろうな」
「私の性格は良く知ってるはずだろう、コレット?」