電波8@あふたーすりーいやーず

新兵器というにはそれはあまりにもお粗末なシロモノだった
天使兵の多くは討ち滅ぼされ
そして合衆国産シュネルギアともいえるフーファイターも一機また一機と堕とされ
新たなフーファイターを作ろうにも要である天使核を取り出す、そんな手間すらも致命的な時間の損失となる状況にまで追いやられていた合衆国にとってそれはひょっとすると必然的な産物だったのかもしれない
すなわち天使核保有者をまるごと天使核動力としてフーファイターに取り込むのであった
無論、従来の方法の天使核と比べ出力は不安定になるが、現在の合衆国の状況ではそんなことよりもまずは数を揃えるほうが重要であったのだ
また、その試験管のように透明な器に取り込まれた天使核保有者達はもう一つの側面を持っていた
人質という側面を

「!!!!!……エミール機、出撃する!」
「おい!待てエミール!」
「うっせぇ邪魔するな重蔵!……アイツは……姉さんは俺が取り戻す!」
「っくそ!いっちまいやがった」
「やれやれですわ、『いや、まさか。自分の命、まじで大切』などとおっしゃっていた方とは思えませんわ」
「おい、お嬢……見てないでお前も止めろよ」
「相手は64年も熟成された恋心ですわよ?私と坂上中尉の人生足してもいささか足りないと思いますわ」
「だからってよ……」
「あらあら、坂上中尉。貴方は人としては随分面白い方ですけれど男としてはいささか情緒に欠けますわね。無理に止めようとしたところで馬に蹴られるのがオチですわ」
「け!お嬢が冗談言うたー珍しいな……で、どうする?」
「兵法は流れる水の如しあんな状態の少尉を無理に抑えるよりは好き勝手やっていただいてそれに合わせたほうが上策というものですわ」
「ったく、簡単に言ってくれる」
「フフフ、坂上中尉ともあろう方が随分弱気なことですわね。そろそろ引退時じゃあありませんこと?」
「馬鹿野郎、お前らが後釜じゃ心配でおちおち引退もできるかっての……よし、第23航空隊出るぞ」
「Ja」