電波6

「……やめじゃやめ。貴様如き腑抜け案山子を相手にしたほうがまだ修練になるというものじゃ」
「んだと?手前!」
「心が曇った者ですら振るえるとは陸軍抜刀術とやらも随分底の浅い剣術のようじゃ」
「!!!!」
「ほぅ怒るか?じゃがな、貴様が弱さ故に生まれた憤懣をぶつけるが為にわざわざ手合わせさせられる余の怒りはその比ではないぞ」
「っぐ……」
「あの小娘……たしかミシェルとかいうたか、あの者も哀れじゃのぅ貴様如き凡愚を心の拠り所とせねばならんとはな…しかも肝心の貴様はただ周囲に当り散らすだけで行動もせぬ」
「……だけどよ、俺はなにが出来るんだよ……アイツのためによ…」
「フン、この期に及んでまだ泣き言をいいよるか。気が変わった、貴様の様な輩が武人を名乗ることすら不愉快じゃ、徹底的に叩き潰してくれよう」
「…来いよ、俺の気が晴れるまでトコトン付き合ってもらうぜ!」
 
 
しばらく10分〜20分お好きな戦闘シーンを脳内でお楽しみください
 
 
「……なんの真似だよ、なんで急に手を止めやがる」
「余は貴様のような単純バカと違ってそんなにタフではないのじゃ、体力がもたぬわ……これだけやってまだ暴れ足りぬというのであればいいことを教えてやろう」
「ん?」
「ミシェルとかいうた小娘、丁度一時間後に隣町の第七研究所にてヴリルの者に引き渡される手はずとなっておる」
「!?」
「じゃがあの一帯には以前より帝に反逆する不逞の輩が潜伏しておるという、上部にもそのことは一応報告はしたのじゃがな……故に何が起こってもおかしくはないのぅ」
「……アンタなんでそんなこと……」
「我が北条家は家格は低くとも皇族には変わり無い、軍部にも少しは顔が利くということじゃ……さて、経堂少尉。そなたは余との模擬戦の途中、余の一撃を避け損ねて重症。故に明日までは出撃出来ぬ。そうじゃな?」
「……」
「やれやれ、応えることも出来ぬほどか、余としたことが少々やりすぎてしまったようじゃな」
「……すまん!」
「フン、余とて腑抜けに勝ってもつまらんのじゃ……少しはマシな男になって帰ってくるがいい。その時また手合わせしようぞ」
「ああ、そんときは飽きるまで何度だって付き合ってやらぁ」
「フフフ、それは楽しみじゃ」