電波10

彼が私と同類の-即ち純血に近い天使-の血を引いているということは資料では知っていたものの。やはり、実際に会ってみると背も伸び表情にやや険が強く浮かんではいるが、昔の面影を色濃く残していた為に少なからず動揺する
無駄に長く生きてきた中で数少ない幸福の時、その少ない時の間いつも傍に居たのは彼だった
その彼に再会した時、私の中に溢れんばかりの言葉が幾つも生まれた。だが、私はそれらを飲み込んだ
お互い会わない時が長すぎた。私が覚えていたとしても彼がそうだとは限らない
それに、覚えていたとしても。私がかつてどこに居たか、そしてそこで何が行われていたか、帝国軍人であれば容易に調べることができるだろう。その時、軽蔑されない理由などない
その二つの可能性が私は怖かった。だから、心に決めたのだ深くは関わらないで見守っていこう、と
 
 
 
 
「ん?……なんでこんな所に子どもが居やがんだ?」
思いっきり引っ叩いてやった