電波5

"施設"であろうが"組織"であろうが私が受ける行為は変わらない
随分と私は男の嗜虐心を擽るらしい
断続的に意識を失い、その度に体の痛みで我に返るほどに
無論、その苦痛をタダで受け入れている訳では無い
"施設"に居た頃は己の自由、そして今は親友の自由のため
私が勝手にやっていることだから彼女はそんなことを望んでいないかもしれない
けれどもそれでも私はやめはしない
これがあの凍てつく雪原の中で消えかけていた私の命を掬い上げた彼女へのわずかばかりの恩返しと
私の死に場所を奪った彼女へのわずかばかりの意趣返しなのだから
 
 
私の行為に意味は有ったのか無かったのか、それは判らない
だが彼女は仮初の自由を得て私はようやく生という束縛から逃れることが出来る、その事実だけが全てだ。これでこの煉獄から……
「なにをしている?お前も準備しないか」
「……は?」
「一人だけ先に途中下車などさせないさ……それに煉獄は始まったばかりだ」
「勘弁してほしいな…」
「あの時私に捕まったのが運の尽き……そうだろ?コレット